春らしさを撮るコツ!

春は芽生えの季節。野も山も萌黄色に色づき、色とりどりの花を咲かせる。
日本人は四季折々の色に寄せる思いが強く、自然が作り出す色あいの変化に何十種類もの名前を付けてきた。
遠景でもクローズアップでも、春の撮影は自分好みの色をさがし、その色をテーマに撮ってみたい。

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〈曙の海〉 2000年 神奈川県・三浦海岸
F5.6 1/125秒 フジクローム100
キヤノンEOS 1N+EF70-200mmF2.8L
春霞に包まれて海も空も曙色に染まる。気まぐれな春の気象も私に味方してくれた

■和色のいろいろ

生徒「いよいよ春ですね! 野山もほんのりと色づいて、パステルカラーに彩られてきます。庭の草花も花をつけ始めました」

塾長「自然には数え切れないほど多彩な色があります。自然に寄り添って生きているからでしょうか。日本人は四季折々の色に寄せる思いが強く、それが独特の日本文化の豊かさの根源となっているように思えます」

「そうですね。日本語には色の名前がじつに数多くありますが、木や花の名前がそのまま色の名前になっていますね。春ですと、萌黄色とか、若葉色とか、藤色とか、スミレ色とか、橙色とか……。写真を撮りつづけると目が肥えてきて、その多彩な色調がだんだん区別できるようになりました」

「印刷用の色見本帳は別として、日常われわれが使う和色の名前は、東雲色とか利休鼠とか、かなり情緒的なものもたくさんあります」

「銅や錫、鉄など鉱物とかも色の名前になっているし、虹色や霞色などの自然現象からきた名前もありますね」

「色の名前の大部分は自然やその現象に由来しているのですが、自然が作り出す色の多彩なことの証だと思いますよ」

「春は色をさがせば写真になる……ということですか?」

「そのとおり! 当てもなく被写体さがしをするのではなくて、テーマになりそうな色をさがしたほうが、結果として趣のある写真になるのです」

「そうでした……。これも以前に教わったことでしたね」

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〈ふるさとの春〉 2004年 神奈川県・横浜市郊外
F8 1/125秒 フジクローム100
キヤノンEOS 1N+EF70-200mmF2.8L
レンゲ畑は子供の頃の懐かしい記憶そのもの。知らぬ間に姿が見えなくなった

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〈紅梅咲く〉 2005年 神奈川県・横浜市郊外
プログラムオート ISO 100
コニカデジタルカメラKD-500Z
早春の陽射しを受けて銀色に輝く枯木立の中で、色香を漂わす紅梅に見惚れた

■春の色をさがす

「ひと口に赤といっても濃淡さまざまだし、いろんな赤があります。よく見ればきちんと区別できますよ。その中から好きな赤を感じ取ってください」

「区別できるでしょうか?」

「たとえば、リンゴといえば日本人は赤い色を連想しますが、西洋人は青い色を連想するといいます。人さまざまで、色に対する好み、感覚が違うのです」

「そうか……、自分の感性に響いた色をテーマにして被写体をさがすということですね!」

「それが個性的な写真表現につながってくるということです」

「春は、菜の花、桜、レンゲ、芝桜、ツツジと、主役になる花の色もさまざまに移り変わっていきます。それをさがすのも楽しい散策になりそうですね」

「それだけではなく、<空、水、火>からは曙色、空色、水色、火色、暮色など、<鳥、昆虫、動物>からはウグイス色、<草木、花>からは桜色、桃色、紅梅色、菜の花色、バラ色、若草色、萌黄色、<土、岩石>からは金色、群青色、ルビー色、珊瑚色などが見られます。色の名前を分類して、春の色らしいものをさがしてください」

「なんだか、色の名前だけ聞いてもどれも明るいイメージで、晴れやかで希望にみちている光景が浮かびます」

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〈空を映して〉 2000年 長野県・蓼科
F8 1/60秒 フジクローム100
キヤノンEOS 1N+EF70-200mmF2.8L 
標高の高い湿原はまだ冬眠中、でも水面にはもう春の空が躍っている

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〈河川敷の春〉 2006年 神奈川県・相模原市
F5.6 1/125秒 フジクローム100
キヤノンEOS 1N+EF70-200mmF2.8L 
さまざまな春の花に先駆けて咲く菜の花の黄色ほど気持ちを明るくしてくれるものはない

■「春の色」の撮り方

「春の色を写す写真はどんなイメージで撮ればいいのでしょうか?」

「光がないと色も見えません。色を撮るとは、光を撮ることです」

「???」

「よくわからないようですね。野山や草花の色は、光の具合によってさまざまに変化します。その光線の状況を見て、イメージを作るのです。被写体の色をただ忠実に写し取るのでなく、春の色香や、命の躍動を主題にあなたの感動を表現するのです」

「もっと具体的に説明してください!」

「春の写真は、たとえば明るく撮ることでイメージ作りができると前回の講座でお話しましたが、明るく撮ると広がりとか楽しさ、開放感のある写真にすることができます」

「とにかく明るい写真を撮ってみるということでしょうか?」

「最初はそうしてみるといいですよ。ホワイトバランスを変えて自分なりの色を創るもいいでしょう」

「明るく撮ってみることにしますが……、他に注意することはありませんか?」

「撮影のコツは春一番と同じで、アングルと構図、そして露出が決め手になります」

「望遠レンズでクローズアップしたり、ワイドレンズを使ってグッと寄ってみるのもいいですね?」

「そういった手法もあります。<春の色>は自然の事象だけに限らず、食材、ファッションなど、活の中にもさまざまな色があるはずですから、街でも色探しを忘れないことですね」

「先生はどんなテーマを考えていますか?」

「春の山菜、春野菜、鯛 軽やかな花柄のワンピースなどなど、たくさんあります。春の撮影は楽しいものですよ!」

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〈春の雪〉 2006年 神奈川県・横浜市郊外
F5.6 1/250秒 フジクローム100
キヤノンEOS 1N+EF70-200mmF2.8L 
雪の帽子を冠って菜の花が嬉しそうだ。春の雪はすべてをフォトジェニックな景色に変えてしまう

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〈ばら色の春〉 2005年 神奈川県・横浜市郊外
F5.6 1/60秒 フジクローム100
キヤノン EOS 1N+EF100mmF2.8マクロ 
ピンクの中でもローズピンクは貴婦人の色。輝かしさの代名詞にふさわしい

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