「春の色」を撮るコツ!

「春の色」といえば、野山に咲く花、公園や道端や庭の花を連想するのは当たり前の話です。花の他にも野や山の春の色、明るい色相の衣装などいろいろ考えられますが、今回は花を主役にした<春の色>を撮るコツに迫ってみましょう。
花は、形や色彩の豊かさで古今東西、あらゆるジャンルの芸術のモチーフになってきました。花の撮影は、花をいかに美しく撮るのか、どのようの表現するのか、その考え方と撮影方法との組み合わせが基本となります。                           塾長:古屋光雄

■色の美しさ

花の愛らしさ、かわいらしさ、潤い、形の面白さ、季節感など、花を見て感じた印象はさまざまですが、それを吟味し、どのように撮ればいいのか考えます。
今回は花の特徴の中でもとくに色の美しさに視点をおき、被写体を選び、表現する方法に絞ってみましょう。
花の撮り方には、大きく分けて3つの撮り方があります。

●花そのものの写真

花の生態や形態の特徴を克明に記録した写真を図鑑的な写真といいます。これは花の写真の基本で、私たちも日ごろ見慣れているため、つい図鑑的な写真を撮ってしまいがちですが、今回のテーマは気分や印象をどう撮るかというテーマで講座を進めます。

花の印象を強く表現するためには色鮮やかに撮れるよう、光の処理が大切です。露出は明るめ(状況によりますがプラス1の補正くらい)がいいでしょう。また、単体でも、集合体でも花そのものを大きく撮りましょう。ピントは、狙った被写体、またはその一部に合わせます。

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作例1〈チューリップ〉 2003年 神奈川県・横浜市郊外
F5.6 1/60秒 プラス1補正
キヤノン EOS 1N+EF100mmF2.8マクロ 
フジクローム100 ソフトフィルター使用 
チューリップの形や愛らしさを大切に、緑色との対比で明るい春のピンクを表現した

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作例2〈ミツバツツジ〉 2006年 神奈川県・横浜市郊外
プログラムオート ISO 100
コニカデジタルカメラKD-500Z  
臨場感を表現するため、花の群れの中までカメラを入れて撮った。ワイドレンズによる遠近感が奥行きのある構図となって画面に華やかさを添えた

●花のある風景写真 

公園や植物園などのパンフレットに、「バラ園」や「チューリップ園」を紹介している写真に見覚えがあるでしょう。噴水や建物など周囲の環境も写っていて利用者にとって便利で説明的な写真です。全体には美しく撮れていますが何を主役にしているか意図が明確ではありません。このような絵葉書的な写真にならないような工夫が大切です。
花を主体に、アングルや露出でオリジナリティを出しましょう。「春一番」を撮るコツ!の講座を参考にしてください。
ピントは主役の花に、パンフォーカスなら背景と主役の関係が損なわれないことが大切です。露出は明るめがいいでしょう。段階露出モードを使い、撮影後に意図に合ったものを選択する方法もあります。

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作例3〈菜の花とカモ〉 2006年 神奈川県・横浜市郊外
コニカデジタルカメラKD-500Z 露出 プログラムオート ISO100
手抜き撮影の失敗例。シンプルな画面構成にカモの姿を入れて動きを添え、黄色の春を表現したが、色にこだわりすぎて退屈な写真になった。じっくりと状況を観察してアングルや光の状態を見極め、インパクトのある画面構成をしなければいけない

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作例4(あぜ道) 2005年 神奈川県・相模原市
F11 1/60秒 フジクローム100
キヤノン EOS 1N+EF28-70mmF2.8L   
早春の田圃のイメージを大切にしつつ、春の色や空気感を表現した。この場合、あぜの緑と田圃の土色の幾何学的なパターンが雰囲気描写に欠かせないと考え、パンフォーカスの画面構成にした

●花を主役にしたイメージ写真

花を見て、自分がイメージしている春の色はどうしたら表現できるかを考えます。直感を素直にうけ止め、その仕上がりを想像して撮り方を決めるのです。       
 たとえば、シャッター速度をスローシャッターに変えて、風に揺れる花、流れる色を表現します。あるいは絞り値をパンフォーカスや一点フォーカスに変えて、被写体への想いを表現してみます。ホワイトバランスを操作して、自分なりの春の色を表現することもできるでしょう。
ピントは主役、もしくはその部分に。露出は前記と同様明るめ。表現しようとする気分で、露出による色の濃淡を変えることに注目しましょう。

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作例5〈春眠〉 2005年 神奈川県・相模原市
F8 1/60秒 プラス1補正
キヤノンEOS 1N+EF70-200mmF2.8L フジクローム100
春のうららかに霞む風情を表現するためにソフトフィルター使用した。そのため背景の目障りも気にならなくなった

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作例6〈妖艶〉 2005年 神奈川県・横浜市郊外
F5.6 1/60秒 プラス1補正 フジクローム100
キヤノンEOS 1N+EF100mmF2.8マクロ 
クレマチスの花が放つ色香を表現した。この場合もソフトフィルターを使用して図鑑的な写真にならないよう配慮した

 以上、花そのものの写真、花のある風景写真、花を主役にしたイメージ写真の3つのパターンで、それぞれの代表的な撮り方を紹介しましたが、もちろん、この撮り方にとらわれることはありません。花を見て、そのとき感じたことを素直に表現すればいいのです。

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